クレジットカードの審査で重要な役割を果たす「クレヒス」ですが、詳しい内容を知らない人もいることでしょう。
クレヒスとはクレジットヒストリー(Credit History)の略で、クレジットカードやローンの申し込みや利用、返済の状況が記録されている情報のことです。
クレジットカードの審査では、カード会社により申し込み者のクレヒスの確認が必ずおこなわれます。
本記事では、クレヒスの意味や使われ方、クレジットカード審査の仕組み、審査通過のコツを解説しました。
クレジットカードをつくろうとしている人は参考にしてください。
1. クレヒスの基礎知識
まずはクレヒスの基本知識として、クレヒスの内容や重要性、クレヒスを保有する信用情報機関の解説をします。
クレヒスとは?
クレヒスはクレジットヒストリー(Credit History)の略で、クレジットは信用、ヒストリーは履歴を意味します。
つまり信用の履歴ですが、具体的には個人のクレジットカードやローンに関する個人利用状況の記録のことを指します。
クレジットヒストリー、つまり個人の信用情報は信用情報機関に記録されています。
信用情報機関とは、主にクレジット会社や消費者金融などが出資して設立された、クレジットカードやローンに関する個人の利用履歴を記録して保管している機関です。
クレジットカード会社はカードの申し込みがあると、信用情報機関から申し込み者の過去の利用履歴を取得して、審査に活用します。
クレヒスに悪い記録がある人を、ブラックリストあるいはブラックな人と表現する場合もあります。
具体的な悪い記録には、「延滞」「代位返済」「債務整理」「強制解約」などがあります。
これらの悪い記録は、原則として5年間は信用情報に記録が残ります。
また、悪い記録以外にも注意したいのは申し込みの記録です。
クレジットカードやローンを申し込むと、申し込みの記録が発生し、6か月情報に残ります。
複数のカードやローンに同時申し込みしていると審査に影響を与えることがあり、注意したいところです。
クレヒスの重要性
クレヒスは、審査に通るかどうかを左右する重要な情報です。
良いクレヒスがあれば、審査に通る可能性が高くなり、金利やリボ払い金利などの条件も優遇される場合があります。
反対に、悪いクレヒスがあると、審査に落ちる可能性が高まります。
クレジットカードは、利用代金の後払いを可能にするサービスです。
クレジットカードで支払われたショッピングの利用代金は、一旦、カード会社が立て替えてしはらい、後日、利用者からカード会社に口座引き落としで支払われます。
立て替えた代金がカード利用者から支払われないと、カード会社は損失を被ります。
そのため、カード会社はクレジットカード発行の際に申し込み者が利用代金を支払う能力を持つか審査するわけです。
審査にあたり、申し込み者が過去にクレジットカードやローンをどのように利用してきたかは、非常に重要な情報となります。
過去に、クレジットカード代金の利用料金を支払わなかったことがある人や、代金の支払いが遅れたことのある人は、将来も同じことを繰り返す可能性があると審査では考えられます。
また、ローンの借り入れ金についても同様で、借りたお金を約束通り期日内に返済していない人は、将来も返済しないことがあると判断されます。
そのため、過去の利用状況が悪い人、つまりクレヒスが悪い人は、クレジットカード審査では不利な要素を持つこととなり、審査に落ちる可能性が高まります。
クレヒスの確認方法
クレヒスを管理する信用情報機関には3社あります。
クレジットカード会社が多く加盟するのはCIC、消費者金融会社が多く加盟するのはJICC、銀行が多く加盟するのは全国個人信用情報センターですが、複数の信用情報機関を利用する金融機関も存在します。
CIC
株式会社CICは、クレジット会社の共同出資により、昭和59年に設立された、主に割賦販売や消費者ローンなどのクレジット事業を営む企業を会員とする信用情報機関です。
CICは、割賦販売法および貸金業法に基づく指定信用情報機関として指定を受けた指定信用情報機関です。
CICの加盟者は、クレジットカード会社のみでなく金融機関や保証会社、消費者金融や携帯電話会社など多種多様な業種に及びます。
2024年2月20日現在、総登録情報件数は78,510万件、加盟会員数は858社です。
参考:CIC公式サイト
CIC公式サイトから情報開示の請求ができ、自分の情報が登録されているか、登録されている場合は自分のクレジット情報や申し込み情報、利用記録の開示を依頼できます。
依頼方法はインターネット(手数料500円)及び郵送(手数料1,500円)があります。
JICC
JICCの正式名称は株式会社日本信用情報機構といい、信用情報の収集・登録・管理・提供ならびに交流に関する事業をおこなう企業です。
個人の信用情報に加えて、法人の借り入れに関する情報も取り扱い与信判断の情報として提供している点や、消費者金融会社の加盟が多い点が特徴でもあります。
2024年2月末での、総登録情報件数は4億7860万件で加盟会員数は1,271社です。
参考:JICC公式サイト
JICCの情報開示請求は、公式アプリからおこなうことができます。
公式アプリをダウンロードし、本人確認を実施したうえで、必要事項を入力すると開示請求ができます。
なお、請求にあたり手数料が1,000円必要です。
また、公式アプリを使用できない人向けに郵送や窓口での請求も可能です。
全国銀行個人信用情報センター(KSC)
KSCは正式名称を全国銀行個人信用情報センターといい、消費者信用の円滑化などを図るために、一般社団法人全国銀行協会が設置、運営している個人信用情報機関です。
全国銀行協会が運営していることもあり、加盟会員は銀行や信用金庫、信用組合に限られ、クレジットカード会社や消費者金融は加盟していません。
2023年3末時点で、保有情報量は9,870万件、加盟会員数は1,054です。
全国銀行個人信用情報センターでは登録情報の開示は、インターネットまたは郵送で受け付けており、手数料は1,000円です。
2. クレジットカード審査の仕組み
続いて、クレジットカード審査の仕組みを説明します。
審査項目
クレジットカードの審査では、主に次の事項が確認されます。
申し込み者が申告する事項
申し込み者の情報 | 年齢、住所、電話番号、生年月日 |
家族構成 | 配偶者の有無、家族の有無、住まいの状況(持ち家か賃貸か) |
収入 | 年収、勤務先、勤続年数、雇用形態 |
他社からの借り入れ状況 | 現在の借り入れ状況、住宅ローンの有無や残機関 |
本人確認書類
申し込み者が本人であることや身元の確認に使用されます。
運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなどが該当します。
収入証明書類
収入状況を証明するための書類で、源泉徴収票や給与明細が該当します。
申し込みをするカード会社や申し込み内容により、不要な場合もあります。
職場への在籍確認
申し込み者が、申告した職場に勤務しているかの確認を、カード会社がおこないます。
確認方法には、カード会社の審査方法により異なり、職場に電話連絡して確認する方法のほかに、申告内容や提出書類から確認する方法があり、必ずしも電話連絡があるとは限りません。
クレヒス(信用情報)
カード会社が信用情報機関から情報を入手して審査に使用します。
申し込み者が提出する必要はありません。
審査基準
各カード会社は独自の審査基準を設けており、公開されていないため、具体的な基準は不明です。
一般的には、18歳以上などの年齢制限があり、申し込み者が安定した収入を有することが申し込みの条件とされます。
審査では各社がそれぞれの基準を用いて、申し込み者の返済能力や安定した収入について精査がおこなわれます。
クレジットカード審査を確実に通過するためのコツ
それではクレジットカードの審査に通過するためのコツはあるのでしょうか?
ここからは、どんなクレジットカードでも共通して使える審査通過のためのコツを紹介します。
クレヒスを良い状況に保つ
前述の通り、審査では申し込み者のクレジットカードやローンに関する利用状況が調査されます。
常日頃から、使いすぎに気を付けて使用し、代金の延滞をおこさないよう注意すれば、クレヒスは良い状況を保つことができます。
クレヒスを積み上げる
クレジットカードやローンを滞納せず、期日通りの返済を継続すれば、良いクレヒスを積み上げることができます。
まったくカードやローンを使わない人よりも、ある程度の利用があり、返済を着実におこなう人の方が、カード会社のビジネス上の利益に貢献すると判断される可能性があります。
安定した収入と勤続年数を確保する
安定した収入と勤続年数は、審査において重要なポイントです。
規模の大きい企業の会社員や公務員は、安定した収入が得られる職業と考えられるため、審査では有利な要素となるでしょう。
また、勤続年数も重要な要素で、大企業の会社員でも転職を繰り返す人は、安定性に欠けるため評価は下がるでしょう。
一方でパートやアルバイトでも、同一の職場への勤続年数が長ければ、安定性についてのよい評価につながると考えられます。
現在の借入状況を改善する
現在の借り入れ状況を見たときに、複数のカードやローンで高額の借り入れがある場合は、返済を進めて借入残高を減らすようにしましょう。
借り入れ残高が多い人は、借金に依存した生活をしていると判断されることもあります。
また、複数社から借り入れをしている人は、借金で借金を返す多重債務者と疑われる可能性もあり、審査では著しく不利な要素となります。
多重申し込みをおこなわない
複数のカード会社に同時に申し込むと、審査落ちのリスクが高くなります。
複数のカード会社に同時に申し込むことを、多重申し込みと言う場合もあります。
多重申し込みをするのは、申し込み者が審査に自信がないあるいは審査落ちする原因を抱えている可能性が疑われます。
事前に各社の審査基準を確認し、本当に必要な自分に合ったカードを選びましょう。
申し込み書は正確に入力・記入する
当然ですが、申し込みフォームや申し込み書には、誤りや誤字脱字のないように丁寧に入力・記入しましょう。
申告内容に誤りがあると、確認に時間がかかりカードの発行が遅れる可能性があるのみならず、誤りの内容次第では審査に落ちることも考えられます。
また、収入や他社の借り入れ状況などについて、虚偽の申告は絶対にやめましょう。
カード会社は審査のプロフェッショナルであり、虚偽の申告は情報の整合性が合わないためすぐに判明し、カードの審査には通過できなくなります。
まとめ
クレヒスとはクレジットヒストリー(Credit History)の略で、クレジットカードやローンの利用状況に関する履歴です。
クレヒスは信用情報機関により記録され、審査の際にカード会社が参照します。
クレヒスに悪い記録がある人は、ブラックリストやブラックな人といわれますが、審査においては不利なようとなります。
クレジットカードの審査通過には、日頃から自分の信用情報に気を配り、返済実績を積み重ねて良好なクレヒスを積み重ねることが重要です。
本記事では、クレヒスとクレジットカード審査の仕組み、審査通過のコツを解説しました。
これからクレジットカードを作ろうとしている人は参考にしてください。